鳳凰三山 大崖頭山(2200m)、辻山 (2584.7m) 2010年7月3日

概要
 鳳凰三山はアルプス級入門の山で、登山口は夜叉神トンネルまで標高を上げているので夏でも涼しく登り始めることが可能(登山口の標高は約1380m)。天気が良ければ観音岳まで足を延ばそうかと思ったが雨模様の不安定な天気で、足慣らしに辻山で戻ってきた。登山道は良好、苺平から辻山間は踏跡あり。辻山北側は樹林が開け大展望が楽しめるが、今回は白峰三山は雲の中だった。

所要時間
4:52 夜叉神トンネル登山口−−5:45 夜叉神峠−−6:44 杖立峠−−7:47 苺平−−7:59 辻山 8:30−−8:39 苺平−−9:28 杖立峠−−9:31 大崖頭山 9:42−−9:44 杖立峠−−10:19 夜叉神峠−−10:46 夜叉神トンネル登山口



 もう7月に入り下界も蒸し暑さが続いて東京ではクーラー必須の時期に入った。山も梅雨真っ盛りで蒸し暑く、標高が低い山は気温が高いだけでなく虫も多く1年で一番不快な時期と言える。これから涼しくなる秋までアルプス級の山に逃げるのが一番の対策だが、梅雨に入って不安定な天気が続いて今週末も雨の予報。天気が良ければどこでも出かけるのだが、森林限界で雨に打たれるのは逃げ場が無く気持ちよくないし、遠くまで出かけて雨に濡れて歩くのもこれまた癪に障る。近場で樹林帯で標高がある場所で考えた結果、夜叉神峠から鳳凰三山を目指すことにした。これなら天候によってどこまで足を伸ばすかを臨機応変に決められる。既登山の山ばかりだが山に入らないと丸々2週間運動しないことになってしまい、健康づくりの一環として出向くことにした。

 中央道に乗り双葉JCTで中部横断道に入る。ここは今週月曜から無料社会化実験対象区間でタダである。まあ、双葉JCTから白根ICまで大した距離ではないが。白根ICを降りてから「広河原エリア」「芦安エリア」の案内標識を頼りに進んでいく。新しいループ橋を通って県道に入り西に標高を上げていく。橋を渡ると坂がきつくなり、市営駐車場の案内看板が見られるようになった。こうなれば記憶のある道で、駐車場へ曲がる道を見送り、オープンしたままのゲートを越えてさらに登っていく。夜間は対向車がライトですぐ分かるので安心して走行できるが、帰りはすれ違いに要注意だ。工事箇所もあったが通行に支障は無く、無事に夜叉神トンネル前の駐車場に到着した。車がポツポツ止まっているが、主は山小屋の中だろう。上空は満天の星空だが明日朝はどうだろうか。

夜叉神トンネル前駐車場。奥がゲート 登山口の階段

 4時間半の睡眠時間を確保して起床、既に明るくなっていておかしくない時刻だがまだ薄暗い。どうやら天候は曇りのようだ。まあ、雨が降っていないだけマシと考えよう。ところが朝飯を食い終わって出発しようというときにポツポツ雨が降り出した。出鼻をくじかれた格好だが今日はお気楽足慣らしで、山頂に立つのではなく適当に歩くのが目的なのでこのまま出かけることにする。もちろんゴアと傘を持ってだ。今日は展望も期待できないなぁ。

まだ薄暗い樹林を登る この笹は枯れた跡に生えたのか?

 雨のおかげか気温は低めで、夜叉神峠への登りは涼しく歩けた。まだ樹林帯では薄暗くデジカメの感度を最高に上げてもシャッター速度が数分の1秒で、手振れしないわけのない速度なので木の幹にカメラを押し付けて固定して撮影した。ここは10年くらい前に笹が開花して広範囲で枯れていたが、今は少し細い笹が繁茂していた。それとも地面がきれいに見えていた場所が笹が枯れた場所だろうか。樹林を歩いているうちに雨が降ってきたようで木の葉に溜まった水滴が落ちるようになったが、まだ傘の出番ではない。この程度で終わってくれるといいのだが。ザックが濡れてしまうのでザックカバーをかけ、いつでも傘をさせるよう右手に傘を持って歩いた。

サルオガセ 夜叉神峠
夜叉神峠から見た大唐松山 杖立峠へと登る

 峠が近くなると傾斜が緩み、なぜかサルオガセがたくさんぶら下がっている。ここだけ雨量が多いのだろうか。夜叉神峠に出ると樹林が少し開けて明るくなるが、白峰三山方面は厚い雲に覆われていた。かろうじて大唐松山が見えているがその姿は霞んでいた。小屋前を通過して再び樹林帯に入ると細かい雨から逃れられた。登りがきつくなると溝のように掘れた登山道を迂回するように「両岸」に道ができた区間もあり、人の多さが感じられる。さすが100名山クラスだ。

シラビソ樹林に突入 杖立峠。後方が大崖頭山

 いつの間にか背の高い深いシラビソ樹林に変貌、いかにも南アらしい雰囲気になってきた。先週の北海道の山とは全く違う雰囲気だが、こちらが見慣れた風景だ。なだらかな坂を登っていくと見覚えのある峠に到着、ここが杖立峠だ。少し東に登れば大崖頭山山頂だが、ここは時間があったら帰りに立ち寄ろう。まだどこまで行けるか分からないので天気が大幅に崩れないうちに先に進もう。樹林中なので雨の状況が分からないが、いつの間にか止んだようで水滴が落ちてこなくなった。

鞍部から登り返す 所々樹林が開ける
白峰三山は雲の中 歩いてきた稜線を振り返る

 登山道は稜線西側に下った場所に続くようになり、最低鞍部では稜線に乗るのかと思ったらもっと下がったところを通過していた。ここまで来ると下りの登山者とすれ違うようになる。今週はずっと天候はぐずついていたので昨日の天気もこんな感じだっただろうか。気温は低目が続きTシャツに短パンで快適に歩けた。この標高だと虫も少ないようで虫除けスプレーを使っていないのに虫がまとわり付いてこないのは大助かりだった。時々樹林が開けて明るくなる場所があるが、相変わらず白峰三山は雲の中だった。

まもなく苺平 苺平の辻山踏跡入口

 緩やかに登り続け苺平(峠)に到着、天候はイマイチでこの先の薬師や観音岳まで行くか悩むところなので、とりあえず辻山の山頂を踏むことにする。ここに登ったのは間違いなく10年以上前で、その時は真夏の好天時だったこと、山頂付近は展望が良かったことを覚えている。南御室小屋への登山道は稜線を離れて東側に下っていくが、辻山への踏跡は稜線上を行く。手製の標識があって往復時間が書かれていたが忘れてしまった。

登山道へのショートカットルート ショートカットは踏跡があるのか無いのか?

 まさに踏跡の表現がちょうどいい程度の道だが、周囲は深いシラビソ樹林なので地面付近の藪は皆無で、道に従わなくても稜線上を適当に歩きやすいところを拾って進んでも問題ない。一応、踏跡を辿ったが主に稜線東側を通っていた。途中、苺平〜南御室小屋間の登山道にショートカットするルートと手製の案内看板があったが、踏跡があるような無いようなだった。まあ、藪が無いし適当に下ればどこかで登山道にぶつかるので細かいことは気にしないで下ればいいのだけど。

踏跡が続く 辻山山頂
辻山北側の開けた場所。休憩に最適 辻山北側から見た鳳凰三山。かろうじて雲の下

 緩やかに登り、最後は進路を左に変えて西側から山頂に飛び出した。山頂には三角点が鎮座しているが山頂標識は無く樹林で展望も無い寂しい場所だった。あれ? 前回来た時には展望が良かったはずだが。その答えはまだ続く踏跡にあった。僅か2,30m進むと樹林を飛び出して森林限界のように木の高さが低くなり開けた場所に出た。ここが前回休んだ場所だ。本当なら北岳がデカデカと見えるはずだが雲に覆われて見えない。観音岳に薬師岳はかろうじて雲の下だがいつ雲が降りてきてもおかしくない天気だ。開けた場所では西寄りの風が強く寒いので山頂の樹林に戻って休憩した。この天気で薬師まで行っても森林限界の展望を楽しめそうにないと判断し、本日はここで引き返すことにした。帰りに大崖頭山山頂を踏めは2箇所の山頂に立ったこととなり、まあまあの成果だろう。

 下山は同じルートを戻ったが、こんなイマイチの天気でも続々と登ってくるパーティーとすれ違った。予報だと午後の方が雨に降られやすいので、雨の前に小屋に到着するか微妙かなぁ。中には幕営装備の人もいたが元気あるなぁ。この天気では私は幕営はやる気が起きない。たぶん明日も今日と変わらぬ天候だろう。

杖立峠から東に登る。藪無し 大崖頭山山頂。標識無し

 杖立峠でザックをデポして大崖頭山に向かう。ここも深いシラビソ樹林で藪は皆無で尾根を適当に登っていく。最後にシラビソ幼木帯が登場して踏跡らしい筋が現れると山頂は目の前だ。幼木帯を通過するとピークに到着、ここが山頂だ。今日はGPSを持ってきていないので地形で山頂を確認するわけだが、まじめにエアリアマップを見なかったので最高点に三角点が無いことに気付かず探し回ってしまった(帰宅後に気付いた)。

 杖立峠に戻るとパーティーが休憩中。そのど真ん中に私のデポしたザックがあった。下りの途中に何人もの登山者とすれ違いながら登山口に到着、車の中で着替えていると雨が降り始めた。私が歩いた時間帯はそこそこ天気が良かったようだ。

 

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